グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ




ホーム >  動物トータルケア学科 >  教員紹介 >  ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話 >  「ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話」Vol.2

「ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話」Vol.2


 こんにちは。コンパニオンアニマルケア実習(グルーミング)を担当している宮田です。

 暑い日が続きますね。こんな日はハンディファンを片手にシャツをパタパタ・・・。いくらかの涼しさを感じられます。でもこんな涼み方、犬にはできませんよね。今回は犬にとっての暑さ対策のひとつとされる、サマーカットについてお話しします。

サマーカット前

サマーカット後

 サマーカットとは、クリッパー(バリカン)等を使用して犬の被毛を短く刈るカットスタイルです。通気性が良くなり涼しくなるというメリットがある一方で、実はデメリットもあるのです。

 デメリットを理解していただくために、まずは犬の被毛について解説します。犬には上毛と下毛の2種類の被毛があります。赤毛の柴犬でいう背中の茶色い毛が上毛、その奥に存在する細くて白い毛が下毛です。柴犬やウェルシュコーギーペンブロークのように、上毛と下毛の差が顕著なものをダブルコートと呼びます。ダブルコートの下毛はよく抜けるため、抜け毛が多いことで知られています。一方、毛が抜けにくいことで知られるプードルやマルチーズなどの毛は、シングルコートと呼ばれます。一見、上毛と下毛に分かれていないように見えますが、シングルコートの犬たちにも下毛はあります。ただ、長期にわたる品種改良の結果、差がほとんどわからないようになりました。本来、上毛と下毛にはそれぞれ役割があります。上毛は太くしっかりしているため、紫外線等の刺激から体を守る日除けの役割があるとされます。一方下毛はふわふわの綿のような毛質のため、保温の役割を担っているとされます。

ダブルコートの例

シングルコートの例

 さて、サマーカットの話に戻りますが、サマーカットは上毛も下毛も関係なく被毛が短くなります。つまり、日除けの役割がある上毛まで短くなってしまい、紫外線の影響を受けやすくなってしまうのです。紫外線の影響を和らげるといった観点では、皮膚が露出しない程度の被毛の長さにしておくのが良いでしょう。
 また、ダブルコートにサマーカットをする場合、もう一点注意すべきことがあります。ダブルコートに対してクリッパーを入れると、元通りのきれいな毛が生え揃わなくなってしまうことがあります。これは上毛と下毛の伸びてくる時期の違いによるものと考えられます。ダブルコートの子をサマーカットにする場合、この先もずっとサマーカットを続けていく覚悟が必要になります。そんなダブルコートの場合、サマーカットの他に、ブラシや専用の道具を使用して下毛を抜く「レイキング」という方法もあります。上毛に対して下毛は抜けやすいため、下毛を中心に抜くことが可能です。この方法であれば、日除けの役割がある上毛を残しつつ保温の役割がある下毛を除去できるため、犬もいくらか涼しくなると考えられます。

レイキングで使用する器具

 今回は暑さ対策の一つ、サマーカットについてお話ししました。犬は暑さに大変弱い動物です。どのようなカットスタイルをしていようとも、暑さ対策が万全ということはありません。環境に十分配慮しつつ、この夏を元気にお過ごしください。

教員プロフィール

宮田 淳嗣 講師

修士(獣医保健看護学)

専門分野はドッググルーミングです。グルーミングとは体表のケアの総称で、シャンプーや爪切り、被毛のカット等が含まれます。その効果に関する研究や、犬に負担の少ないグルーミングの研究、被毛の太さや強度など身近でわかりやすいテーマを意識し研究を行っています。


教育・研究業績はこちら

ページの先頭へ戻る