「ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話」Vol.3
夏休みに家族でキャンプや登山に出かける前に、虫除け成分である「DEET」を30%以上含有した虫除けスプレーを準備しましょう。マダニで広がるSFTSというウィルス感染症をご存知ですか?
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、SFTSウィルス(Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus)によるマダニ媒介性の人獣共通感染症です。ヒトが感染した場合の致死率は10〜30%ですから、かなり危険です。このウイルスを媒介するマダニ(フタトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)の生息範囲が温暖化によって北に広がってきています。以前は東アジアから東南アジアで多く報告されていましたが、日本でも西日本を中心に感染例が報告されています。患者は神奈川・東京を越えて、先月、茨城でも発生しました。ウイルス感染マダニは患者の確認されていない群馬、岩手、宮城県、北海道からも略日本全国で見つかっています。感染マダニの割合は数%程度と考えられていますが、このウイルスは感染ダニの産んだ卵や孵化した幼ダニにも垂直伝搬します。一匹の感染マダニがシカや猪を吸血することで、同時に野生動物に咬着していた全てのマダニが感染マダニになって産卵し、草むら等で次の動物やヒトを待ち構えます。キャンプや登山では、感染ダニに吸血されないよう肌の露出をなるべく避ける、露出部にはマダニに有効な虫除け剤を塗布する、草むらに直接座らないといった注意が必要です。また、茶色や黒っぽいマダニ色の服を避けて明るい色の服を着ることで、吸血される前に付着したマダニを見つけることができます。マダニに対する虫除け成分としては、ディート(DEET)とピカリジン(Picaridin)/イカリジン(Icaridin)が有効です。皮膚に塗布する場合は、30%ディートまたは20%ピカリジンを含有する虫除け剤が最も効果的です。100%のディートを靴や服のうえから噴霧しておくと更に効果的です。これらの虫除け剤は犬や猫には使用できません。その為、キャンプや登山にペットを同伴した時は、ダニが付いていないかよく点検することが重要です。ネクスガード等の駆除薬にはダニの忌避効果は無く、野外におけるSFTSの防御には効果がありません。Permethrin製剤であれば、咬みつく前にマダニの付着をある程度制限できますが、猫には毒性が強く使用できません。
SFTSに注意して楽しい夏休みをお過ごし下さい。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、SFTSウィルス(Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus)によるマダニ媒介性の人獣共通感染症です。ヒトが感染した場合の致死率は10〜30%ですから、かなり危険です。このウイルスを媒介するマダニ(フタトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)の生息範囲が温暖化によって北に広がってきています。以前は東アジアから東南アジアで多く報告されていましたが、日本でも西日本を中心に感染例が報告されています。患者は神奈川・東京を越えて、先月、茨城でも発生しました。ウイルス感染マダニは患者の確認されていない群馬、岩手、宮城県、北海道からも略日本全国で見つかっています。感染マダニの割合は数%程度と考えられていますが、このウイルスは感染ダニの産んだ卵や孵化した幼ダニにも垂直伝搬します。一匹の感染マダニがシカや猪を吸血することで、同時に野生動物に咬着していた全てのマダニが感染マダニになって産卵し、草むら等で次の動物やヒトを待ち構えます。キャンプや登山では、感染ダニに吸血されないよう肌の露出をなるべく避ける、露出部にはマダニに有効な虫除け剤を塗布する、草むらに直接座らないといった注意が必要です。また、茶色や黒っぽいマダニ色の服を避けて明るい色の服を着ることで、吸血される前に付着したマダニを見つけることができます。マダニに対する虫除け成分としては、ディート(DEET)とピカリジン(Picaridin)/イカリジン(Icaridin)が有効です。皮膚に塗布する場合は、30%ディートまたは20%ピカリジンを含有する虫除け剤が最も効果的です。100%のディートを靴や服のうえから噴霧しておくと更に効果的です。これらの虫除け剤は犬や猫には使用できません。その為、キャンプや登山にペットを同伴した時は、ダニが付いていないかよく点検することが重要です。ネクスガード等の駆除薬にはダニの忌避効果は無く、野外におけるSFTSの防御には効果がありません。Permethrin製剤であれば、咬みつく前にマダニの付着をある程度制限できますが、猫には毒性が強く使用できません。
SFTSに注意して楽しい夏休みをお過ごし下さい。
患者は神奈川・東京を越えて、先月、茨城でも発生しています。
私のお気に入りはディート100%のジャングルジュース(①)!
インドネシアで現地調査のためにジャングルに入る時は、30%ディート含有ローション(②)または、クリーム(④)か、20%ピカリジン含有ローション(③)を皮膚に塗布したのち靴やアウターのうえからジャングルジュースを噴霧します。日本国内メーカーではディートの含有量は30%、ピカリジンの含有量は15%がMaxとなっています。特殊な粒子にディートをコーティングすることで、含有ディート濃度を低減し、効果はそのままに小児にも使える製剤(⑤)も発売されています。
インドネシアで現地調査のためにジャングルに入る時は、30%ディート含有ローション(②)または、クリーム(④)か、20%ピカリジン含有ローション(③)を皮膚に塗布したのち靴やアウターのうえからジャングルジュースを噴霧します。日本国内メーカーではディートの含有量は30%、ピカリジンの含有量は15%がMaxとなっています。特殊な粒子にディートをコーティングすることで、含有ディート濃度を低減し、効果はそのままに小児にも使える製剤(⑤)も発売されています。
①DEET100%のジャングルジュース ②DEET30%ローション ③ピカリジン20%ローション
④DEET30%クリーム ⑤特殊粒子にコーテイングした小児も使用可能なDEET ⑥犬用のpermethrin製剤
愛玩動物看護師の皆様へのTake Home Message!
SFTSウィルスは、感染動物の血液、尿、糞便、唾液にも含まれます。
イヌ、ネコから獣医療従事者を含むヒトへの感染が報告されています。
途中で手袋を外した、ゴーグルを使わなかった等、患者の血液や、目の粘膜を介して感染した可能性が指摘されています。SFTS感染が疑われる動物の診療ではスタンダードプリコーション、2重手袋、ガウンテクニック、ゴーグル、マスクは必須です。SFTSウィルスはエンベロープがあるウィルスなので、アルコールも含めて消毒薬は有効です。不幸にして感染した場合、治療には抗ウイルス薬ファビピラビル(アビガン)が承認されていますが、奇形性があるので妊婦、妊娠または妊娠している可能性がある場合や授乳中は使用できません。また、妊娠する可能性のある女性は、この薬の服用開始から服用終了10日後までは性交渉を行わない等注意が必要です。
SFTSウィルスは、感染動物の血液、尿、糞便、唾液にも含まれます。
イヌ、ネコから獣医療従事者を含むヒトへの感染が報告されています。
途中で手袋を外した、ゴーグルを使わなかった等、患者の血液や、目の粘膜を介して感染した可能性が指摘されています。SFTS感染が疑われる動物の診療ではスタンダードプリコーション、2重手袋、ガウンテクニック、ゴーグル、マスクは必須です。SFTSウィルスはエンベロープがあるウィルスなので、アルコールも含めて消毒薬は有効です。不幸にして感染した場合、治療には抗ウイルス薬ファビピラビル(アビガン)が承認されていますが、奇形性があるので妊婦、妊娠または妊娠している可能性がある場合や授乳中は使用できません。また、妊娠する可能性のある女性は、この薬の服用開始から服用終了10日後までは性交渉を行わない等注意が必要です。
教員プロフィール
藤村 響男 教授
獣医学博士・獣医師
北里大学医療系研究科客員教授
「らい菌の鼻粘膜上皮細胞への侵入に係る分子機構を標的とした感染防御ワクチンの開発」などワクチンや抗感染症薬について研究を行っています。
教育・研究業績はこちら
獣医学博士・獣医師
北里大学医療系研究科客員教授
「らい菌の鼻粘膜上皮細胞への侵入に係る分子機構を標的とした感染防御ワクチンの開発」などワクチンや抗感染症薬について研究を行っています。
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