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「ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話」Vol.23


年間を介して発生するが、バーベキューやキャンプ等野外での調理や飲食機会が多い夏期に多い傾向がみられる。
出典:農林水産省HP

食品媒介感染症は食品を摂取することで発症する疾患で、原因となる病原体によって細菌性、ウィルス性、寄生虫性に分類されます。このうち特に夏に増加するのが細菌性食品媒介感染症(細菌性食中毒)で、その多くはペットや家畜の腸管内に常在する菌によって起こります。細菌性食中毒の原因菌として最も多いのがカンピロバクター菌です。

カンピロバクター菌( Campylobacter jejuni )は、鶏や豚、牛の腸管内に高率に生息しています。カンピロバクター菌の付着した食肉や生乳等を経口摂取することで感染します。
潜伏期間が2日から7日と他の細菌性食中毒と比べて長く、数百個程度の少量の菌でも感染が成立します。発症すると、発熱、腹痛及び下痢、の3徴がみられ、下痢は水様性で始まり、粘血便になる場合もあります。
鶏肉が原因となる場合が最も多く、市販の鶏肉のカンピロバクター菌による汚染は2020年以降日本全国(千葉、神戸、京都、福岡等)で6件の調査が行われ、汚染率は28.6%〜92.2% と報告されています。

鶏肉には、ほぼカンピロバクター菌が付着しているものと想定して、鶏肉の調理時には
  1. 生の鶏肉は他の食材につけない
  2. 調理前に鶏肉は洗わない
  3. 鶏肉とサラダ等生野菜の調理はエリアを別にする
  4. 中心部温度が75度以上で1分以上加熱する
  5. バーベキューでは調理に使う箸と飲食用の箸を区別する

といったことがカンピロバクター菌による食中毒の防止に有効です。
また、野外ではバーベキューの他に、体験牧場等での乳搾り後の生乳摂取が原因となったカンピロバクター菌による食中毒も報告されています。殺菌されていない生乳にも注意が必要です。
カンピロバクター菌による食中毒の後、ギランバレー症候群を発症する場合があります。食中毒症状後2週間後位から下肢の軽度のしびれで発症し、上行性に両側対称性の運動麻痺が進行し歩行障害、構音・嚥下障害が認められます。呼吸筋に麻痺が及んだ場合は、レスピレーター管理となる場合もあります。

脳神経疾患ビジュアルブック 9末梢神経疾患ギラン・バレー症候群PP226 Gakkenより引用
カンピロバクターの菌は、ヒトの末梢神経の構造(GM1)と共通の成分を持っている。

脳神経疾患ビジュアルブック 9末梢神経疾患ギラン・バレー症候群PP226 Gakkenより引用
カンピロバクター菌に感染した後、ヒトの末梢神経の構造(GM1)と共通の成分に対する抗体が産生されると、本来カンピロバクター菌を攻撃するはずの抗体が自己の神経細胞を障害する。

カンピロバクター菌は、ヒトの末梢神経の構造(GM1)と共通の成分を持っている為、カンピロバクター菌に感染した後、たまたまヒトの末梢神経の構造(GM1)と共通の成分に対する抗体が産生されると、本来カンピロバクター菌を攻撃するはずの抗体が自己の神経細胞を障害してギランバレー症候群を発症します。
バーベキューの後にレスピレーター(人工呼吸器)装着では楽しい夏休みが台無しです。
カンピロバクター菌による食中毒に注意して夏をお過ごし下さい。


教員プロフィール

藤村 響男 教授

獣医学博士・獣医師
北里大学客員教授


「らい菌の鼻粘膜上皮細胞への侵入に係る分子機構を標的とした感染防御ワクチンの開発」などワクチンや抗感染症薬について研究を行っています。


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