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「ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話」Vol.26


人を含め、動物が病気になったときには、さまざまな方法で治療を行います。症状によっては安静にして回復を待つこともあり、また外科的な手術を行うこともあるかもしれません。その中でも、薬を使って病気を治療する「薬物療法」は、最も身近な治療方法かと思います。これまで、一度も薬を飲んだことのない人はいないのではないでしょうか。
人用の薬は身近にあることが多いと思います。では、ペットが病気になった時、その薬を与えてよいのでしょうか。答えは「NO!」です。人用の薬を動物に与えてはいけません。その理由は、人間と動物では体の仕組みが異なるからです。薬は体に入ると、病気の原因に対して作用し、その後肝臓などで分解され、やがて排出されます。しかし、分解する器官の働き方は動物の種類によって異なります。そのため、人間にとって安全な薬でも、動物の体ではうまく処理できず、強く作用したり、毒になってしまうこともあります。

代表的な例は「アセトアミノフェン」というお薬です。発熱や痛みを抑えるために使われる薬で、新型コロナウイルス感染症が広がった時期に、発熱や痛みへの対症療法として使用されたことから、名前を知っている人も多いと思います。この身近な薬は、人にとっては胃などへの負担も少なく、安全性の実績が高い薬ですが、特に猫にとって「猛毒」です。猫はアセトアミノフェンを十分に処理することができないため、体に入ると、血液が酸素を運ぶ能力が低下したり、肝臓に障害が起き、最悪の場合、死に至ります。人間にとって役立つ薬が、動物にとっては命を脅かすものになる場合があるのです。
動物の治療に使われる薬の中には、人用の薬と同じ成分のものも多くあります。しかし、動物の種類や体重などに合わせて、用量や規格、剤形などが異なります。動物用の医薬品が一般的に身近な場所で売られていないからといって、人間用の薬を代わりに与えてよいわけではありません。
動物が病気になったとき、「何とかしてあげたい」と思うのは自然なことです。しかし、対処として人用の薬を与えることが、かえって動物を苦しめてしまう可能性があります。動物の具合が悪いときには自己判断で薬を与えず、動物病院に相談することが大切です。
人には薬でも、動物には「毒」になることがあります。薬は正しく使ってこそ、健康を守る「薬」となるのです。

教員プロフィール

江藤 忠洋 准教授

博士(薬学)・修士(生物資源科学)

微生物由来の二次代謝産物から得られた化合物が生命にどのように作用するかを解明。その中から疾患に有用な「宝」を見出し、新たな治療法を構想、未知の可能性を医療へつなぐ研究を行っている。

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