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「ペットとの生活を豊かにする!どうぶつの深い話」Vol.27


秋のアメリカでは、ハロウィーンと感謝祭という二つの祝祭が続きます。どちらも人々の生活に深く根ざした行事ですが、そこに登場する動物に目を向けると、文化の背景や社会の価値観がより立体的に見えてきます。

ハロウィーンの象徴といえば黒猫です。黒猫が「不吉」とされるイメージは、中世ヨーロッパの魔女狩りに由来します。魔女の使いとみなされた黒猫は迫害の対象となり、その迷信がアメリカにも伝わりました。一方で、イギリスでは黒猫は幸運の象徴とされ、逆に白猫が不吉とされる地域もあります。白が幽霊の色と結びつけられているためです。こうした文化差は興味深く、アメリカとヨーロッパでは黒猫のイメージが「逆転」して伝わったと言えます。さらに、世界ではアメリカやヨーロッパの影響を受け、黒猫を魔女の使いとするハロウィーン的イメージが広く浸透しています。

近年では黒猫への偏見をなくし、保護猫の譲渡を促す動きが広がっています。しかし、ハロウィーン前後には黒猫の譲渡を控える施設もあります。これは、黒猫が「儀式目的で入手される」ことや、「ハロウィーンの飾りとして一時的に飼われ、不要になれば捨てられる」ことを防ぐための予防措置です。文化的象徴性が強い動物だからこそ、動物福祉とのバランスが慎重に考えられています。

一方、感謝祭の主役は七面鳥です。アメリカでは感謝祭の日に家族が集まり、七面鳥の丸焼きとかぼちゃのパイを囲んで食卓を囲みます。七面鳥にとっては運命の日でもありますが、その中には特別な幸運を手にする個体もいます。毎年ホワイトハウスでは、大統領が七面鳥に「恩赦」を与える儀式が行われるためです。恩赦を受けた七面鳥は、式典前にワシントンD.C.のウィラード・インターコンチネンタルホテルの専用スイートでVIP待遇の滞在をし、式典後は大学の農学部などに移送され、気温管理された施設で学生や専門家のケアを受けながら余生を過ごします。近年ではバージニア工科大学のGobblers Rest(恩赦を受けた七面鳥の専用施設)やノースカロライナ州立大学が受け入れ先となっています。ただし、教育目的で展示されたり、家禽産業の広報的役割を担ったりすることもあり、完全にのんびりした余生というわけではありません。現在の恩赦の形式は、1989年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領が「この七面鳥は食卓に上らない」と宣言したことが始まりとされています。

ハロウィーンの黒猫、感謝祭の七面鳥という象徴的な動物たちは、文化・歴史・動物福祉が交差する地点に立っています。これらの行事を動物の視点から見つめることは、動物看護を学ぶ学生にとっても、命との向き合い方を考える貴重な機会となるはずです。

教員プロフィール

浅井 みどり 講師

修士(文学)

アメリカ文学と長年にわたり医療系大学において看護学科、理学療法科、管理栄養科の英語教育に携わってきたため、医療英語が専門。動物医療に携わる学生向けのテキスト作成も行っている。

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